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ハヤブサテントは玄人ライダー好みの便利満載のツーリングテント

2025年6月5日

Bears Rockのハヤブサテント2人用を実際のキャンプツーリングで使ってみて、「なんかこのテントいいぞ」ってなっちゃいました。ライダーならではのキャンプでジャストフィットする部分はどこなのか。これからしっかり紹介していきます。

(ハヤブサテントはBears Rockから提供しています)

ハヤブサテント2人用を使ってみた

 今回、Bears Rockのハヤブサテント2人用を使わせてもらうことになりました。忖度なく書かせてもらえるということなので、このテントがキャンプツーリングに向いているかどうか、とことん見ていきたいと思います。耐久性については、どうにも調べようがないので、その点だけはご留意ください。

 さて私はといえば、キャンプツーリング歴だけはそれなりに長く、30年近くになります。直近の5年はキャンプブームだのコロナだので敬遠していたので、実質25年といったところです。それでも最初の10年は、1年を通じてほぼ毎月1~2回はキャンプをしていたので、そこそこのストロングスタイルだったと思います。特にその期間はバイク雑誌の編集などを生業にしていたため、キャンプ道具に触れる機会も多く、キャンプツーリングギアのカタログなども作っていました。なのでそれなりに厳しい目で今回のハヤブサテントも見ていきたいと思います。
 今回使用したバイクは初期型のホンダのクロスカブ110です。ワイドキャリアを装備し、積載に優れたバイクで、そこに小型のトップケースを付けています。トップケースはできるだけ後ろ側に付けることで、シートとトップケースの間に十分なスペースを作っています。これでデイパックを背負っていても邪魔にならず、トップケースに入りきれないものも十分に積めるようにしています。


まずはバイクに積んでみた

 さてキャンプツーリングと普通のキャンプの一番の違いですが、当然のこととして、バイクに載せ切れなければいけないということでしょう。軽量コンパクトは誰しも望むところですが、そこに居住性や耐久性が加わり、組み立てやすさや運びやすさなどが絡み合ってきます。人それぞれで重視する部分も違うでしょう。1泊や2泊のキャンプツーリングと1週間以上の長期のもの、日本一周や世界一周などでは求められる性能も変わってきます。そこで今回は一般的な1~2泊程度のキャンプツーリングを前提に、ハヤブサテントはどうなのかを試してみました。もっとも1週間以上のキャンプツーリングは何度かしたことがありますが、日本一周や世界一周はしたことが無いんですけどね。

この大きめ収納袋いい!

 ハヤブサテントの一番の特徴は、何と言ってもテントの収納袋でしょう。手提げ付きの大きめの収納袋で、グランドシートのほか、キャンプ用のサンダルなども入ります小型のものであればペグ打ちハンマーも入ります。タープは大きさもいろいろありますし、ポールのサイズも様々なので試しませんでしたが、調べれば入れられるものもあるでしょう。それくらい余裕のある収納袋です。キャンプ道具はすべて防水バッグに放り込んでいるという人もいるでしょう。でもそういう人もこの収納袋を使うか、防水バッグを使い続けるか。今後のキャンプツーリング人生を賭けて検討してみてください。

 ただこの収納袋ですが、バイクに積むときに少しだけ注意するところがあります。ネットで積む人は問題ありませんが、ロープで積む場合は、クロスさせるだけにしておいたほうがいいということ。タテにロープを掛けると悲惨な末路を迎えるかもしれません。どうしてもキャリアからはみ出した部分は、縦にロープをかけたくなってしまうんですよね。ライダーの習性みたいなものです。でも収納袋が45センチに対してポールの折りたたみサイズは37.5センチなので、タテに掛けたロープが、収納袋だけにしか掛からず、ポールに掛からないことがあるんです。そうすると走行中に緩んだり、外れたりすることがあるので、ロープはクロスして掛けるだけにしておいたほうが無難です。特にワイドキャリアを使っている人はタテ掛けはしないことをおススメします。

組み立てはシンプルが正義

 組み立てですが、一般的なドームテントなので、ほかのテントと大きな違いはありません。前室用のポールが無い分シンプルです。ポール2本でインナーテントを吊り下げるだけ。日が暮れてからキャンプ場に着いても、ヘッドライトだけで十分に組み立てられます。組み立ては省ける無駄はすべて省いてしまうに限ります。中に荷物が入っていれば、風が強くない限り、ペグ打ちもいらないと思っているくらいなので、この設計はうれしいところです。

左右対称、前後も対称がじわじわくる

 と、ここまでは普通に便利だよというレベルですが、このテント前と後ろがないんです。要するに前室と同じものが後ろにもついているんです。前前室と後前室とでも言うんでしょうか。そのためフライシートを掛けた時に「前と後ろが逆だった」という失敗が起きないんです。これって地味に便利です。特に雨や風の強い日には、フライシートの向きが違ってやり直しとなると、多少イラっとします。それが無いってだけで、ちょっと感動ものです。



この前後が無いことは、ほかの面でもいいことがあります。それは前も後ろもフライシートを全開にできるので、とても開放的なんです。風の通りもいいですし、まるでサンシェードテントのようです。夏場にちょっと昼寝をしたいなと思った時も、足を外に放り出し、頭をテントの中に入れたまま(つまりテントを横に使って)前後を全開にしておくと、きれいに風が抜けていきます。寝ながら空も見えます。テントの向きにさえ注意すれば、直射日光を避けて寝転がれるので、わざわざ木陰を探す必要もないんです。これって実に素晴らしいですよね。夜なら星空を見ながら寝転がれるってことです。



 この前後前室(?)には、まだ利点があって、特に雨の日に重宝します。雨の日はバイクの場合、濡れ物が多くなります。レインウエアやバッグ類、ヘルメットやグローブも濡れてしまうので、テントの中には入れたくない物ばかり。バイクに置いたままにするのも不用心ですし、あとから降ろし忘れたものを取りに行くのも面倒です。結局、前室に置くことになるのですが、スペースが足りなかったりします。私の場合、シューズとヘルメットとグローブを右に、トップケースとレインウエアを左に置くのがお決まりなのですが、これだとちょっとトイレに行こうと思っても、荷物を掻き分けなければなりません。これが後ろにも前室があると、後ろの前室を荷物置き場にして、前の前室にはシューズだけを置けば、出入りが楽になります。何なら折り畳み傘も前の前室に置けます。便利な荷物置き場があると、テントを組み立てて、荷物を前室においてから、ゆっくりとシュラフや食材などを出して、テント内を整えることもできます。これは非常に便利なスペースです。特にキャンプ場直前で夕立に遭遇したことのあるライダーなら、この有難みは共感してもらえるでしょう。直前でレインウエアを着るだけでも気分が凹むのに、テントの中まで濡れると最悪です。これが無くなるのは、精神衛生上、非常にうれしいことです。

広々室内空間

 この前後前室だけでも居住性がいいことはわかってもらえたと思いますが、室内もかなり広いです。2人で使えるテントですから、シュラフを2つ並べられることは当然です。それくらいの広さは十分にあります。でもタンデムでキャンプツーリングをする人は少数なので、実際には1人で使うことが多いでしょう。もちろん2人の場合でも、前述のように前室が2倍ですから、荷物を前室に置けば問題ありません。
 1人で使ったとき、私は身長168センチですが、身長175センチくらいまでの人であれば、十分快適に過ごせそうです。それ以上の人だと、顔の近くにテントが来すぎてしまうので、シュラフを斜めに置くなど、ちょっとした工夫は必要になるかもしれません。でも前室に十分荷物を置けるため室内空間は問題は無いでしょう。

熱帯夜も乗り切れる

 ベンチレーションも前後の前室のフライシートを開くだけではなく、天井近くに2つの窓があり、インナーテント側もメッシュ窓になっているので、熱気が効率よく逃げていきます。最近ではGWであっても熱帯夜の日がありますから、暑さ対策は本当に重要です。今回4月の中旬に使いましたが、12度の最低気温で、天井のベンチレーションだけを開けていたら、春用シュラフでは寒くて目が覚めてしまいました。これくらい冷えれば、夏の夜でも、山であれば何とかなると思います。

カサ張る湿ったテントも余裕

 一夜明けて、いざ撤収となったとき、夜露がしっかり乾いてから出発できればいいのですが、なかなかそうもいかないことが多いでしょう。次に向かうところまでの時間もあります。都合よく日が出ているとも限りません。そうなると生乾きだったり、濡れたままのテントをしまわなければならないのですが、ここでも大きな収納袋が役に立ちます。フライシートもインナーテントも、濡れていると畳んだ時の空気の抜けがよくありません。どうしても乾いているときよりカサが増えてしまうんです。それでも収納袋へ十分に収まりますし、付属のコンプレッションベルトもあるので、無理なくチャックを締められます。今回、生乾きでの撤収でしたが、コンプレッションベルトを使わずに収納できました。この状態でバイクに積めば、空気は抜けてくれるはずです。


長く付き合えるキャンプ道具

 天井にランタン用のフックがあったり、メッシュポケットがあるなど、基本装備は揃っています。当然、フライシートを開いたり、インナーテントをメッシュ窓にしたときの留め具もあります。無くてはならない装備はすべて揃ったうえで、便利だったり、有難い機能がプラスされているので、キャンプツーリングをこれから始めたいという人にも、長く使ってもらえるテントだと思います。テントは破けない限り、そうそう買い替える必要が無いものです。最初にしっかりとしたものを選ぶことで、長く付き合えるキャンプ道具になります。本来のキャンプ道具は、見た目や機能性ではなく、長く使い続けられることが重要です。エコを考えるなら、最初にいいものを選びましょう。

Bears Rock公式オンラインストア ハヤブサテント2人用 TS-201H
https://shop.bears-rock.co.jp/view/item/000000000019

[執筆者] 高杉浩

20代にバイク雑誌の編集者をしていた関係で、キャンプツーリングを初めました。日本全国、沖縄県以外は、何だかんだでバイクで旅をしています。あれからすでに30年。仕事は変わったけれど、今はクロスカブであちこち走り回っています。